ボディメイクバカ一代

そのワンレップに「愛」を込めて

人並み外れたボディへの憧憬 vol.1

大学進学後、私はボディメイク人生において衝撃的な体験をしていた。

前回お話させていただいた、高校時代の体験がボディメイクへの目覚めであったとすれば、これから2回に渡りお話させていただく大学時代の2つ体験こそが、私のボディメイクにおけるまさに「初心」である。

約20年に渡るボディメイクからの断絶を経て、今再びボディメイクに目覚めた私は、まさにあの時の「初心」に帰っている状態だ。

あの時憧れた「先輩」方のボディに一歩でも近づけるように日々努力している。

 

2年の浪人を経て、かろうじて大学に進学した後、各授業が始まる前にオリエンテーションが行われた。

その中で、体育のオリエンテーションがあった。

体育の担当だという講師が半袖シャツを着てやって来た。

来た瞬間、あきらかに「ただ者」ではなかった。

半袖から除く前腕の太さが常人ではなかったのである。

講師は淡々と授業の進め方などについて話し始めたが、その時、私には講師の話などほとんど耳に入らず、その前腕にしか目が行かなかった。

顔つきも精悍で眼光鋭く、普通に街で歩いているような一般ピープルたちとは明らかに異なる空気をまとっていた。

「この人、一体何者だ?」

前腕の異様な太さとともに、体全体からも放たれるただならぬオーラ。

私は完全にこの講師に魅了されてしまっていた。

すると講師は

「私の専門は剣道です」

と述べた。

私は中学時代、剣道部に所属していた時期があった。

そのため、剣道家のボディにはある程度知見があったが、これほどまでの人物は見たことがなかった。

「剣道をやって、こんなにもオーラを放つことができるのか?」

と、疑問に思うほどのただならぬオーラのある男性だった。

 

 

その後、しばらく時が過ぎた…

ある日、たまたま録画していた全日本剣道選手権大会のビデオを鑑賞することにした。

当時、毎年秋頃になると、NHK教育テレビが全日本剣道選手権大会を放映しており、私はなんとなくそれを録画していたのだった。

放映は準決勝くらいからだったと思う。

ある一人の選手の名前が、なんとなく見覚えがあった。

「はて?どこかで見たような名前だな…」

その時、ピンと来た。

「あの、先生だ!」

そう、あのときの体育講師が、全国大会の準決勝で戦っていたのだった!

全国で4人の中に入るツワモノ。

まさにトップアスリート。

あの講師は紛うことなく「ただ者」ではなかったのであった。

あの人並みはずれた前腕と全身からただよう常人を超えたオーラは、日々の鍛錬が作り出したボディメイクの真髄。

当時、毎日腕立て伏せ500回を行い、内心腕力に自信を持っていた私だったが、「トップアスリート」の域に達した超人が放つオーラに比べれば、私など足元にも及ばないことをまざまざと見せつけられたような感覚だった。

と同時に、

「厳しい鍛錬で作り上げたボディは、常人を凌駕するオーラを放つことができる」

という事実を知ったとも思った。

自分も努力すれば、いずれはその域に到達できるのではないだろうかという希望も芽生えたのだった。

 

 

今の私にとって、あの講師のオーラは憧れと目標の一つである。

先日、職場の同僚からこんなことを言われた。

「KENさん、背中すごくなってないですか?着衣の上からでも背中の形が浮き出てますよ」と。

またいずれ記載していきたいが、私は現在、背中に「鬼」の顔を作るための鍛錬を重ねている(一部ボディメイク愛好家たちの中では、極度に発達した背中の凹凸を「鬼の顔」に例える慣習がある)。

そんな私にとって、同僚のこの言葉は何よりもうれしかった。

私は同僚がもらした何気ない感想が、私のボディが当時の講師に一歩近づけたことを証左してくれたようでとても嬉しかったのだった。

最後に手前味噌な話をしてしまい申し訳なかったが、実は、今回語った話の2年後に、同様な体験をしたことがあるので、それについてはまた、次回記載していきたい。

 

ボディメイクに励むすべての人に幸あれ。