ボディメイクバカ一代

そのワンレップに愛を込めて

クライミングという新境地

しばらく筆を休めてしまっていた。

ボディメイクにストイックであるがごとく、ブログを書くという行為においても常々ストイックでありたいと私は思っているが、ここのところ、どうしても筆が鈍ってしまった。

日々感じていること、思っていること、行っていることを素直に書けばよいのだが、「自分をよく魅せたい」という邪な気持ちが邪魔をしてなかなか進まなかった部分がある。

さらに言い訳をさせてもらうと、ここのところ仕事でトラブル続きでブログに対するモチベーションもあがらなかったというのもある。

そろそろ気を取り直して、私の日々、そしてその中で感じたこと、考えたこと、行ったことを、また淡々と書いていきたい。

ところで、私は最近、めっきりジムに行かなくなった。

全く行っていないわけではないが、行っても週1〜2回。

以前は「俺は週8でジムに通っている」と豪語したものだが、それがこういう状態となっている。

しかし、私の身体は以前にも増して力強く、そしてなにより「実用的」である。

実は、筋トレを行うためのいわゆる普通のジムにはほとんど行かなくなったかわりに、クライミングジムに入り浸っているのである。

もともと私はボディメイクの大会に出たいという希望からジムでトレーニングを重ねていたが、ある日突然「背中を鍛えるのであれば、クライミングがいいのでは?」思い立った。

なぜそのように思ったのかはよくわからないが、背中を鍛えるのであれば懸垂がいいことは有名だ。

ゆえに、クライミングのようなスポーツであれば、ゲームを楽しみながら自然に背中を鍛えることができるのではないだろうかと推察したのは理由としてある。

はじめて行ったクライミングのジムは、とてもアットホームであり、かつ自由というかフリースタイルな雰囲気であった。

ジムのスタッフから簡単なレクチャーを受けたあとは各自各々のペースで練習に励むのであるが、自分一人で登っていても、知らない人たちが「ガンバ」などと言って応援してくれる。

私はあまり社交的な方ではないので、こういった場面においては可能な限り自分の世界に入ってやりたい方だが、こういうコミュニケーションを大切にする文化というかカルチャーにはリスペクトがある。

そういえば、前回のオリンピックではスケートボードが注目を集めたが、あのスポーツも敵味方関係なく、おたがいのパフォーマンスをたたえあう風習があったが、クライミングもそれに近い。

優劣を争う競技である以前に、その根本には「自分も相手も同じスポーツを愛する仲間同士」というメンタリティが通底しているのだろう。

そんなピースフルでハートフルな雰囲気の中、開始から1時間もすると、手指には力が入らなくなり、前腕はいまだかつて味わったことがないようなパンプを見せた。

これまで筋トレに励んできたのと生来の恵まれた体格により、ジムのスタッフからは「初心者にしては上出来」と称賛されるだけのパフォーマンスを発揮できたが、日々の筋トレでは感じることのなかった新たな筋肉痛や疲労感は、私にとって新しい発見であった。

そして、単なるトレーニングとしての効用だけでなく、クライミングが内包するゲーム性は私を熱狂させた。

また、与えられた課題をクリアしたときの達成感はなかなか日常では味わえない快感であったし、「目の前の壁を乗り越える」という行為そのものが何やら人生そのものを暗示しているかのようで、今の自分にはぴったりなような気がした。

私は一気にこの競技に取り憑かれてしまった。

気がつけば、普通のジムからは少しずつ足が遠ざかり、可能な限りクライミングジムに足を運ぶようになったのである。

そうして足しげくクライミングジムに通うようになり数ヶ月経ったのだが、驚くべきことは、体つきが単に筋トレしていただけの頃に比べて格段に引き締まったことだ。

これまでなかなか現れなかったシックスパックのラインが浮かび、体幹に細身が生まれた。

そして、もともと自信のあった背中だったが、以前とは比べ物にならないほど広がりと厚みが増し、さらにキレがくっきりと浮かびはじめたのである。

また、なにより、「指」といういまだかつて考えたこともなかった箇所が鍛えられた。

幼い頃、ウンテイで遊んでいた頃は、割と軽々と自分の体を運ぶことができていたが、大人になって同じ動作をやろうとすると、そもそもバーにつかまっていることすら困難であることがわかった。

最初は壁に貼り付いた突起物(ホールドという)につかまっているので精一杯だったが、指に力がついてくると、徐々に体を移動させることができるようになったのだった。

かつて、トレーニングのためのトレーニングをするために通った普通のジムは、いまやクライミングでよりスムーズなパフォーマンスをするための鍛錬の場所となった。

力任せのクライミングから脱却してテクニックを磨く行為は、筋トレのように単純な中に複雑を求める行為と異なり、複雑の中から単純を導き出すパズルのようでもある。

また、これまで見向きもしなかった「指」という新しい部位の鍛錬、また、柔軟性を求めるための「ストレッチ」という新たな分野への挑戦も自分の中ではじまっている。

今後はさらなるクライミングの高みを目指すために、柔軟性とメンタル面での効用も狙ってヨガにも挑戦していきたいと思っている。

ライミングにより、私のボディメイクライフにはまた新しい道が拓かれている。